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最期のバージンロード 無宗教葬にて

ウエヂングドレスを着せた棺

 

このブログも、ご遺族の許可を得て書いております。

 

3月サクラが咲き誇る中、大正生まれの一人の女性がご逝去されました。

華やかな夜の街を彩った彼女の最期のお顔は、90歳を過ぎてもなお透き通る陶器のようでした。

 

長崎市のある漁港に住む明治生まれの町医者との道ならぬ恋に落ち、認知してもらえない息子を育てた彼女。さすが医者の血を引く息子は某大学の教授にまでなりましたが、彼女よりも先に旅立って行ったのでした。それでも、愛した人の近くに住み続けていましたが周りの目もありちょっと離れたところで、ひとり静かに暮らしていました。

 

残された息子の妻や子供たちには、なかなか会うこともできず「私生児」であることを、よく思わない嫁は、彼女との縁を切るために死後離婚を選んだのでした。

 

明治生まれの町医者もこの世を去り、彼女の頼りになる親戚は自分の兄弟だけになっていました。

 

当社へ葬儀の依頼があったのは、そのご兄弟のうち弟ご夫婦でした。

 

彼女つまりお姉さんのことが大好きだった弟は、自分の子供を連れてよく彼女のもとに遊びに行きました。そして子供が大好きな彼女も、弟の子供をとてもかわいがりました。

 

その子供たちも結婚し、彼女にとってはひ孫のような存在まででき、会いに行くと彼女は顔をほころばせとても喜んでいたそうです。

 

私がいつも切なく感じるお葬式は、このような状況のことが多いのですが、「親の葬式ならば別だが、親の兄弟などの葬式を自分たちの費用負担で行う場合、できるだけ費用を抑えたい。」

 

そうです。もちろんです。お弔いをして差し上げるだけでも本当に素晴らしいことで、費用をかけられないからと言ってなにも卑屈になる必要はないと思うのです。ですがご本人たちの心境は様々です。直系である弟さんの立場とそのお嫁さんの立場では、考え方も違います。しかし、現在このようにご自身の両親以外の身内を送らなければならないような方が多くおられるのは事実です。さらに言えば、そのようなお身内さえいない「おひとりさま」もたくさんおられるのです。

 

このような場合、無宗教葬を選ばれる方が多数おられます。形式的なお通夜や告別式は一通りするけれど、聖職者へのお礼をカット。49日や初盆をカット。と簡素化していくのです。でもそれは誰が責められるでしょうか?私は「自分の生活を脅かすことなく、できる範囲での一番いい方法で葬送してさしあげればよいのではないか?」と考えます。

 

このご家族も無宗教葬を選ばれました。しかし彼女が残した遺品の中に、壊れてしまった「阿弥陀様」の像があったのです。

私は少しばかりお経をたしなむのでお経を、皆様で「南無阿弥陀仏」を唱えました。お経の途中なぜか涙が溢れだし、読めなくなってしまい、ご家族におわびしたのでした。

 

最期にせめて、最期にせめてとの想いでお棺に「ウエデイングドレス」に見立てたオーガンジーのレースでできた棺掛けを着せて「花嫁さん」を送り出しました。

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「これ、どうすればいいでしょうか?」と仏像の処分の相談を受けました。

 

たまたまいつも伺う観音堂に、そういった仏像がたくさん奉納されていたなあと考えついたので、お預かりして、そこに納めさせていただくことにしました。

 

葬儀が無事に終わり、観音堂に上りお預かりした仏像を納めて「ここですよ。」と後でお見せしようと写真を撮りました。

彼女が喜んだのか?観音様が歓迎してくださったのかわかりませんが不思議な写真が撮れていました。

 

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茂木、そこは彼女にとって特別な場所だったのです。

私が納めた、小さなお堂めがけて一筋の光と、観音様からのエネルギーを感じる光が映っていました。

 

 

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きれいな花嫁さん。天国で幸せになってほしいです。

 

合掌

 

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